ビールうまいよビール

「ジョッキ、ビン、缶…中身はぜ〜んぶ同じ 生ビール=新鮮の嘘」- livedoor newsなんて記事がブクマされていたので、気になってコメントを見てみたら、半分ぐらいは「なにをいまさら」って感じのコメントだった。よかった。

薀蓄はいろいろあるけど、まず「中身が同じ」ってとこで青筋を立てるのが勘違いだ。中身が同じだったら味が同じだとでも思ってるんだろうか? 配送、容器、保管、注ぎ方、それがみんな合わさってできるのがビールの味だ。古い記事ではあるが、わかりやすいので引用する:


ラガーとスーパードライの冷やした缶を用意しよう。それからガラスのコップも2個。両方とも缶を開けたらそのまま、まず一口飲もう。私の口にはラガーは苦すぎて、あのうま味が感じにくい。スーパードライには適度に刺激的な清涼感がある。今度はグラスに注ごう。たっぷり泡を立てるよう高いところから注ぐ。ラガーからは適度に苦味が抜け、ほろっとした甘さが加わる。比べるとスーパードライは何か抜けたような、物足りなさが残る。
そう、飲み方だけで味は変わるのだ。
ほかにも管理面が違うだろう。いつ消費者の口に届くかわからない缶ビールと、配達した当日に飲みきられることが期待されているジョッキ用のタンクでは新鮮さも違うはずだ。そのほか、もろもろ。

話しの飛び方が強引だが、id:fuku33さんは、「漫談・日本のものづくり参」で服飾産業における付加価値についてわかりやすく解説してくれている。付加価値というのはそうやって、丁寧につけていくものだ。しかも、その付加価値というのは、それなりに洗練された人にしかわからない。「布と型紙が同じなのに!」といって怒るのはそういうのを理解しないオヤジだ。いや、おれも実は糸偏業界はさっぱりわからないんだけど。

たとえれば、最初の記事は「Abercrombie and Fitch はユニクロと生地が同じなのに何で高いんだ! *1」とオヤジが娘に叫んでいるようなものじゃないか? そう思うとすっきりしてきた。

そういう違いを自分の舌や唇やのどで感じることができずに「同じじゃないか!」と叫ぶバカにはなりたくないものだ*2

*1:重ね重ね、俺はこの業界に詳しくないので本当に同じかどうかは知りません。あくまで例です。

*2:いや、実は俺も似たような馬鹿なことをしたことがあった。それについては気が向いたら書こう