SIMロックという問題だから反応しちゃうけど

どうも池田先生という人、いろいろなことに噛み付いて話題を提供するのが好きなようだ。そういう意味で blog向きの人といえる。この人が論じると正しいことでも胡散臭く感じられるのでちょっとこまる。のは俺だけか。

今回噛み付かれたのは何か:


きのう警視庁は、携帯電話のSIMカードのロックを解除して売っていた業者L&Kの社長を、商標法違反と不正競争防止法違反などの容疑で逮捕した。気になるのは、メディアの扱いである。たとえばTBSは(おそらく警視庁のリークで)事前取材をした形跡があり、この商売をいかにもいかがわしいものとして描いている。テレビ朝日の「報道ステーション」でも、解説者が「こういう不正改造を許したら携帯電話業者のビジネスは成り立たない」とコメントしていた。

池田先生がまず噛み付いているのはマスコミの態度だろう。確かにこれは俺も同意する。競争を促進させるようなふりをして、既得勢力の片棒を担ぐ。ただ、これはハンロンの剃刀*1を適用して、深い狙いがあるのではなく条件反射しているんじゃないかと思いたい。もちろん、この場合無知は罪であるが。

また、SIMロック自体についても、俺は反対である。ただ、ここから先、池田先生の言っていることは怪しい。

これによって端末とサービスがアンバンドルされ、両方の市場で競争が促進された結果、GSM端末は日本の携帯電話よりも一桁ぐらい安く、通話料金も日本よりはるかに安い。端末の国際的ポータビリティは、ヨーロッパでは当たり前なのである。

少なくとも、アメリカではGSM端末が日本の携帯電話より安いという実感はない。ヨーロッパでもそんなものだった気がする。日本なら、型落ちの端末なら 1円で手に入るし、機能てんこ盛りの最新型が、貧弱なGSMと同じぐらいの値段で手に入る。何より日本の端末の安さは SIMロック (およびインセンティブ) によってできたものだ。まず、ここがおかしい。
通話料金については比較する資料がないので知らないが、日本と比べて安いという感覚はあまりない。USでむかつくのは、着信しただけでも金を取られることだ。

さて、さらに怪しいのが諸外国におけるSIMロックの普及度だ。最初はあたかも SIMロックは日本独自のものみたいに書いて、つっこまれたのか訂正をしている。

(*)これは事実誤認だった。SIM lockは海外でも行われている。しかし多くの国では、これは反競争的な行為として規制され、オペレータは消費者が要求した場合にはロックを解除することが義務づけられている。総務省は、ロック解除が違法行為ではないことを言明し、消費者の求めに応じて解除することを義務づけるべきだ。

えー、解除が義務付けられてるなんて聞いてないよ。で、ちょっとぐぐってみたら以下の総務省の資料が出てきた。


SIMロック規制について諸外国における動向を見ると、米国及びEUにおいては特段の
規制は存在しない。ただし、EU加盟各国の状況を個別に見ると、フランス(SIMロックは6か月間)、イタリア(同18か月)、デンマーク(同6か月)において、一定期間経過後にSIMロックを解除しなければならないとの規制が適用されている。[資料33]
これをみると規制があるほうがまれなんだけどなあ。どうも、一部の国の事情を聞いて針小棒大しちゃったのかなあ。

まあ、もうすこし落ち着いて書いて欲しいものだけど、ブクマ狙いのネタなのかな。だったら仲良くしよう。

*1:無知で説明できる行為を悪意によるものと解釈してはならない