定義と意義

たとえ話になるが、二等辺三角形についての話があった。二等辺三角形の定義は言うまでもなく、いずれか2つの辺の長さが等しい三角形である。だがこれだけでは二等辺三角形を理解したとはいえない。それに関わる事実もろもろを理解しなければ二等辺三角形を理解したとはいえない。

例えば二等辺という条件は二つの頂角が等しいのと同値であること、二つの等辺の間の頂点から下ろした垂線は残りの辺を二等分すること。

それは二等辺三角形というものをわざわざ定義する意義でもある。ものともの、関係と関係のつながりあいを理解して初めてそれを有効活用することができる。定義を知っているだけでは、経を唱えているのと同じだ。

さて、今書いている Poincareカテゴリの記事は、Poincare予想についてトップダウンに最低限の説明を行うことを目的としている。

しかし、定義の説明にとどまっていては、二等辺三角形の定義を丸暗記するのとかわらないのではないか、とも思えてきた。なぜ「基本群」なんていう概念を発明したのか、なぜ「コンパクトで境界のない」ものだけに限定しているのか。3次元多様体を分類するとどう面白いことがあるのか。それがわからなきゃ Poincare予想の意義はわからない。

具体的にいえば、2次元多様体のところで、向き付け可能性とか連結和とかそういうのを導入すべきなのか悩んでいる。

そう思うと、ToDoを作って解説していくのが意味のない作業にも思えてきた。やっぱりいままでのボトムアップ数学書のほうが正しいのかもしれない。