クーデターと総裁選と大統領選

タイでクーデターがあったと聞いて「大変じゃん」と思っていたんだが、案外当たり前のことらしい。


タイでは政権交代の際にクーデターがおこることは別に珍しいことではないし、国民も特に混乱することはない。なぜなら、国王がいるからだ。いわば、水戸黄門様が常に控えておられるわけで、今回も首都を制圧した軍部はすぐに国王にクーデターについて報告をしている。まったく平和なもんで、タイ人はメッセンジャーの名前に「会社帰りめっちゃ戦車がおった!」とか、大銀行の幹部でさえ「明日会社にいかなくてもいい、やったー」みたいな雰囲気だ。街頭で戦車や軍隊の写メールをとる人たちの写真も報道されて、クーデターといえば血なまぐさいイメージがある人にとってはわけがわからない事態が進行しているように見えるかもしれない。

すごく面白い。クーデターが、ナイルの洪水のように生活の中に組み込まれてしまっている社会なんて、すごくわくわくする。住民は「あ、またクーデターの季節がやってきたな。今回はいい政治をもたらしてくれるといいな」と。SFみたいな話だ。結構身近にある国がそんな国だったとは。

まあ、もちろんこんな政体であることを怒っているタイ人もいるんだろうけど (だって、プミポン国王が逝去したあとは大変だろうし)、野次馬的に見て面白い。

翻って、日本の総裁選は予定通りに決まってしまってつまらないなあ。政治に関して口を挟めるような知識も矜持もないのだけど、出来レースっぷりにはうんざりではある。

一方、小泉の首相としての功績については評価することにやぶさかではない。マスコミを通してみる限り多くの点でぶれなかった (国債発行額とかはあるけど) とか。

でも、こういう政情だったからからこそ名宰相として評価されたのであって、もしもブッシュが当選せずにゴアが当選していたら違ったのかな。妄想になるけど、ゴアだったら 9/11もおきなかったかもしれないし、日米関係をあれほど密にする必要もなかった気もするので。

ということで、あの大統領選のお祭り騒ぎまでさかのぼる。あれはあれで、4年に一度の「まつりごと」としては正しい形なんだろう。ただ、自国中心的で、自分のとった行動が他の国にどう影響をもたらすのかということに無自覚すぎる気もするけど。

クリントンホワイトハウスでオーラルセックスさえ楽しまなければ、世の中はもっと違った形になっていたのかなあ、と思うのだった。男としては理解できなくもない感情であるが、もっとかわいい子を相手に選んでほしかった。