間違った Identityの怖さ

ものを分けるのは「分かる」ための第一歩だけど、でも下手に分けるだけじゃ分かったことにならないんじゃないかな。と思ったのは以下の entryで、日本国民を世代に分けて「分かり」やすそうな説明をしてたからだ。


(1)借金をこさえた世代が返済する。(相続税増税)
(2)借金をこさえた世代の子供たちの世代が肩代わりする。(所得税増税)
(3)借金をこさえた世代とその子供たちの世代の両方が返済する。(消費税増税)

この世代感には共感するものはある。

親戚の叔母 (65ぐらい) と話していた時のことだ。なんだか愚痴っぽい政治の話になって

「小泉さんもいかんわ。年金減らしたりするし。若い人もだまっとらんと政治に口出しせんといかん」

って。おい。もしも俺らの世代がまじめに口出ししたら、あんたらの年金は減らされるどころか、全額なくなるぞと。自分の収入が減るのを愚痴るのはいいとしても、利害関係が対立する俺らのことも考えてくれよ。

まあ、そこまでは言わずに「いや、僕らの世代なんかもらえるか分からないから、もらえるだけいいですよ」とオブラートに包んで好青年っぷりをアピールしておいたが、別にいまさらお年玉もらえるわけでもないしな。

というわけで同意しそうになるんだけど、でもやはり fromdusktildawnさんのは違うと思う。

確かに世代という風に分けて、それぞれに Identityを持たせると上のような説明になるかもしれない。でも、結局相続税があったって、借金をこさえた世代から金を取れるわけじゃないのだ。

相続税がより高額になったら、国に借金をつくらせて資産を増やした人たちは一所懸命それを自分の資産じゃないようにするだろう。裁判に負けても資産がないから払えないとしらばっくれる某巨大掲示板の管理人のように。なに、そういう人たちならいくらでも穴は見つけるはずだ。

贈与税を提言するという弾さんの案なんて案を採用したら、子供にわたるだけだ。格差が緩和されるとは思えない。

結局、世代ではなく、格差の問題になってしまうんじゃないか。若い世代は Identityをもって上の世代を攻撃したりするけど、それがいなくなってみればそんな Identityはうそだったことが分かる。金持ちの子は余裕のある暮らしをしているのだ。

もちろん、将来受益が期待できる子供は、そんな Identityをわざわざ偽る必要もない。勝手に貧乏人が Identityを持ってくれるだけだ。そう、金持ちは喧嘩しないのである。