白菜を2倍買ったって解決にはならない

日本じゃ白菜が豊作で、産地廃棄しているらしい。もったいないなあ、という声に対してかかれたエントリがはてブ人気エントリーに入っているのを見て知った。曰く、産地廃棄をさせない方法は消費者が普段の2倍買うことらしい。

これはもちろん、農家への批判を回避するためのレトリックだろう。こんなのじゃ産地廃棄という問題(いや、これが問題だとするなら)は本質的には解決しない。

もしも消費者ががんばって白菜を2倍買えば、白菜の取引価格は高まって、農家も白菜を売って儲けることができるようになるかもしれない。とりあえず、無駄な廃棄はなくなって目の前の「問題」はなくなる。

でもそうすると、市場は思ったよりも白菜需要があるんだと認識するはずだ。次の年には、倍まで行かなくても例年より白菜の作付けは多くなるだろう。そしてそれが計画通り成長したら、また市場には本当の需要を上回る白菜が出回ることになる。消費者がまたがんばって吸収しなければ産地廃棄が行われる可能性がある。ましてや、また豊作になって収穫が計画を上回ったら、今度は消費者がいくらがんばっても吸収しきれない。「かってあげてるのに廃棄するなんて」というように、より農家は悪者になるかもしれない。

広く見れば、これは山形さんのところに乗っている「倫理的な食べ物はかえって有害かもしれない」の一例じゃないかな。こういった浅はかな意図で需給を操作するとかえってまずいことになるという。

さらにいえば、ちょっと書いたようにそれを「問題」と思うかどうかなんだろう。先のエントリーのおかげで、俺は重要野菜緊急需給調整事業というものを知った。産地廃棄も安定して供給するために必要なことと思えばやや納得できる。そういう説明があれば、農家対する浅はかな反感も薄らぐだろう。マスコミはそういった全体像を説明せず、センセーショナルな廃棄だけを報道するものだ。

しかし、白菜が安いのに乗じて、白菜料理のレパートリーを増やすのはいいことだとは思う。うちの近くの韓国スーパーにも白菜が出回って、キムチの漬け込みに忙しい季節なんだろう。一つ買って挑戦してみるか。