言論を読むときに気をつけてること

納得できそうなを言論を読んでも、すぐに納得するな。特に positiveな例をいくつもあげて説得力をかさ上げしている場合、negativeな例を考えてみろ。

具体的には、Aに特有な現象 Xを、別の Aにある現象Yに起因して説明している場合。Yだから Xだと、一見論理的な説明に見える。大抵、こういう論には Yじゃないために Xじゃない例も引き合いに出されている (論理学でいう裏)。

でも、実は Yは Aだけではなくほかのものにもある現象では? negativeに論を否定する証拠、Yだけど Xじゃない例Bがあったりしないか? こういう反証に耐えられるのか?

もちろん、反証がないことを確認するのは大変だけど、すこし考えるとボロがでるものも世には多いので、第1段階のチェックにはなる。

例0: 日本が特定アジアと分かり合えない最大の理由は宗教観である。 | C.I.L.

  • A =「日中、日韓関係」
  • X =「相互理解できない」
  • Y =「宗教観が違う」

で、あっさり反証が見つかる。B=「日米関係」とでもおけばいい(日米でも相互理解ができてないと強弁される可能性もあるけど)。

例1: http://d.hatena.ne.jp/letemp/20070312/1173699772

  • A =「近年の日本」
  • X =「(デスノートのような)ルールがはっきりした物語が流行る」
  • Y =「教育観が「資本主義的等価交換」の原理に基づいている」

これはまだ反証探し中。なんか隙がありそうに思えるんだよな。まあ、そもそも X,Yともやや曖昧な言説なので、はっきりした例をあげられないかも知れない。
もちろん、反証に耐える可能性もあるし、ほかの方法による反論が有効かもしれない。

まとめ

普段やっていることを明示的に書いてみました。
でもこれをいちいちやってると結構疲れるんだよね。知識量が豊富でないといい例もでないし、重箱の隅にいたることも多いし。
あくまで、篩い落とすための簡単なテストとして用いてください。これをパスしたとしても正しいとはいえません。例えば相関関係と因果関係の取り違えは篩い分けられないので。それにほかの検証が有効な場合も多いし。金槌を持ったからって、すべては釘ではないのです。