鰯ももっと高かったらうまかったろうに
表題は内田百間のエッセイ (「クルやお前か (旺文社文庫)」ぐらいか?) にあった文句である。あの屁理屈老人曰く、ものの美味さはそのもの自体で決まるわけじゃない。みんな高いから美味いと思って食っているのだ。もしも鰯も鰻のような値段がつけば、きっとみんな美味いと言って褒めそやすだろうに、と。
これを思い出したのは、Google Earthの新バージョンが出たニュースを読み飛ばしてる自分に気がついたから。
自分は地図マニアで、中学時代などは図書館にある空撮地図などを眺めて、いつか家にもほしいと思っていたものだ。空撮アトラスなども買っていた。そんなおれだからWorldWindや Google Earthが出たときは狂喜した。日本だけじゃなくて世界中の航空写真がただで手に入る! それも三次元のかっちょいいユーザインタフェースとともに!
でも、それから2年、その興奮は覚めてしまったらしい。Google Earthもたまに思い出したように立ち上げるだけだ。むむ。
Googleは無料で色んなサービスを提供してはくれるが、それが本当におれの生活を幸せにしてくれたのかなあ。さまざまな情報だって、検索もできずに貴重だったころは集めただけでうれしかった。それがいまでは検索ボタン一発で出る。
あの、航空写真というだけでワクワクしていた中学生のころのような高揚感を奪ってしまった Googleを、ちょっぴり逆恨みしてみる次第。