「ブッキング」に見る言葉の変遷

また 2chネタがもとでお恥ずかしいのだが、気になったので一言:

こう書くとダンナ擁護と誤解されかねないんですけど
基本私の頼み事も断ったり文句言ったりする人じゃないんで扱いやすいには扱いやすいんですよ。ブッキングしたときパニクるみたいです。

45-44 - 義実家にしたスカッとするDQ返し☆まとめサイト @ ウィキ - アットウィキ

「ブッキング」って言葉の使い方がおかしい。
要約としては実家と自分の家庭の用が重なったとき、実家を優先させる困った夫の話だ。でもそれだと「ダブルブッキングしたとき」じゃないのか? "Booking"だと単なる予約だ。一つ予定が入っただけでパニクるようでは強迫神経症だ。
つまり「ブッキング」だけで予定が重なる意味だと思っている人がいるのかも知れない。頭の足りない人だなあ、と pgrすることができるかもしれない。

でももしかすると、そういう人は俺が知らないだけで、結構いるのかも知れない。いつの間にか「ワーニング」とかいう気味の悪い言葉がはやっていたりする時勢だし。俺の知らない間に市井の人々には広まっているのかも知れない。

そしてそれはそれでありなのかも知れない。

ケータイだって本来は携帯、持ち歩くという意味しかない。それがいつの間にか「携帯電話」という、携帯するもののなかでも特殊な一例を表すようになってしまったのだ。「ブッキング」が予定のうちの特殊なものを表すようになってもいいんじゃないか。

でもやっぱり気持ち悪いなあ。別に英語を知っているのが偉いわけじゃない、とうそぶきたいけど、でもねえ。

ああ、でもこれは呉智英が「すべからく」で指摘する「教養をコケにしつつも、教養に憧れるコンプレックス」と同じものなのかなあ。

英語を知らなくてもいいかもしれないなら、中途半端に「ブッキング」などという言葉も使わなければいい。「予定が重なったとき」とか平易な日本語でいえばいいのだ。それを憧れつつ不勉強なまま使うから恥をかく(で、そのくせ反教養主義で開き直る)。

いや、今回の元ネタの場合、本当に自然*1に「ブッキング」を勘違いしてそうな気もするが。どうなんだろ。

*1:ここを「ナチュラルに」と書きそうになった俺がいたのは秘密だ