元、病原菌、鉛

スペイン人というか、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を征服できた直接の原因として「銃・病原菌・鉄」が挙げられる、というのが Jared Diamondの同名の本の内容だ。本は、そこからどうしてヨーロッパ人 (というかユーラシア人?) がそういう技術を手に入れられたのか、っていう問題を明解に解き明かしていくんだけど。

ここでいいたいのは「病原菌」がアメリカ原住民の勢力を衰退させる大きな要因だったってこと。アメリカ原住民は天然痘などに対する免疫をもっておらず、そのためヨーロッパ人が意図せずに持ち込んだ病原菌で多くが倒れていった。原住民にとっては、ヨーロッパ人は文字通り病原菌の塊で、エンガチョすべき存在だったのが面白い。ヨーロッパ人の方が「清潔そう」なのにね。

というのを松浦晋也さんの書評を読んで思い出した。中国人はこのまま放っておくとすごい耐性をそなえて、世界を征服していくのじゃないかと。

ハクビシンだろうがなんだろうが食って、SARSを流行らせて、結果耐性を持った人間が生き延びる。鳥インフルエンザだってそうだ。そして多少の有毒物質 (たとえば肉赤身化剤) を摂取してもへとも思わなかったり。そういう人が選択的に残っていったりしないかな。

考えてみれば、そういう有毒物質を法律で規制した安全な社会というのは、不自然な状態だろう。生物として人間を考えたら、生きるか死ぬかの瀬戸際までいろんなものを食い、多様性を追求し、そして屍を重ねながら進化していくのが自然だろう。人権という名の元に、人間の生き方の多様性を奪ってしまっていいのだろうか。アパッチ族だって追放地から生まれたのだから*1

そうやって生まれた、鉛もものともしない中国人がやがて世界を征服するようになったら... いや、おれが生きているうちじゃそんなに変化はしないだろうけど、もしかして将来、有害物質で覆われた地球をのしていったりしないかなあ、とマッドサイエンティスト助手見習いぐらいのおれは思うのでした。

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎