21世紀の情報蒐集者

AppleTVの話を聞いて夢想したのが、オタクのひとたちには厳しくなるんでしょう、ということ。
これは Appleだから、Jobsだからじゃなくてこれからの潮流としての話です。

江島さんの書いているとおり、オンラインビデオレンタルというのは、ある意味非常にニーズにあったサービスだろう。一旦普及すれば市場はそっちに流れていく気がする。

そうやって自分の DVD棚が軽くなっていくことはいいと思うのです。手元になくても、専用のアーカイブがネット上にある。そう思えばメディアもバリバリ捨てられるでしょう。
でも、捨てていいのか? 本当に自分の見たいものがいつまでも見られるんだろうか。配信会社は、いつまでもサーバの上に配信可能な状態にしておいてくれるんだろうか。ロングテールといいつつ、人気のなくなったものは放っておいて見つからなくなってしまうのでは。ふと、無性に見たくなって真夜中に探し回るのは悲しい。

メンテナンスが行き届かなくてみられなくなるならまだいいのかもしれない。でも社会的圧力とかで抹消されてしまったらどうなるんだろう。

ウルトラセブンの12話の例もあるし、他にも放送禁止歌などもある。社会的に抹消されてしまう可能性は存外に高い。

やはり手元にメディアをおいて蒐集しておくことも必要なのではないだろうか。

これからデジタルで気楽に視聴できる時代には、一般家庭の棚にメディアが並ぶことはなくなるのかも知れない。蒐集するためにかかるコストを払ってくれるのはオタクだけになるのだろう。そういう意味でオタクの皆様に期待したい。

しかし、段々とオンラインでしか配信されなくなるコンテンツも多くなるだろう。それもDRMつきで貯めることも出来ない。蒐集への壁はきつくなる。ビデオとか普及していなかった時代に、テレビの前にこれを見逃せばいつ見られるか分からないとかじりついていた時代に逆戻りだ。

DVD-Rなどの普及で、劣化させることもなくコンテンツを一生溜め込むことができると思ったのは、20世紀後半に見た一瞬の夢だったのだろうか。