バーナード・メードフはねずみ講詐欺なんかしていない

この記事をよんで初めて知ったのだが、NASDAQ元会長が 4兆円を越える巨額の詐欺で捕まったらしい。
変だと思ったのが、瀧口さんの記事では「ネズミ講」といっているんだけど、被害にあった会員の話がちっとも出てこない件。無限連鎖講の時の被害者の大部分は、巨額の出資者じゃなくて、小金と時間と人間関係を失った会員のはずだ。

そういうわけでくさいと思って英語のソースを当たってみると、以下のようなものが:

NEW YORK (Reuters) - Bernard Madoff, a quiet force on Wall Street for decades, was arrested and charged on Thursday with allegedly running a $50 billion "Ponzi scheme" in what may rank among the biggest fraud cases ever.

http://news.yahoo.com/s/nm/20081212/bs_nm/us_madoff_arrest

Wall Streetのここ数十年の重鎮である Bernard Madoff が、火曜日に、史上最大の規模に当たる 500億ドルの「Ponzi詐欺」を行った容疑で逮捕された

ようはこの Ponzi-schemeネズミ講 (Pylamid scheme) に誤訳されたと思ってよさそうだ。さっそく Wikipediaを引いてみると、日本語はなく、英語ならある。訳すのも面倒くさいので、ちょうど見つけたヘッジファンド・ジャーナルというメルマガから引用する:

(Ponzi scheme)異常に高いリターンを謳って出資者から資金を集め、その資金を使ってその後に続く投資家に利益を配分する、といった資金操作を繰り返す詐欺の一形態。一種の自転車操業であり、出資を煽って新規の投資家を無限に呼び込まなければ、必ずどこかで破綻する。
ポンジー・スキームと類似する仕組みとして「ねずみ講」(無限連鎖講、pyramid scheme)が挙げられるが、こちらは上位会員がある金額を支払えば、それを上回る収益をより多くの下位会員から徴収した金額から受け取ることができる仕組みの団体を作ることで、ポンジー・スキームとは厳密には異なる。

ヘッジファンドジャーナル_2008年12月19日発行

そういうわけで、あんまり類似してない気もするが、たんなる誤訳ということで納得。でも瀧口さんまでその誤訳に付き合ってしまっているのが残念。

ちなみに WikiPediaには「ポンジー・スキームという単語は主にアメリカで使われるが、他の英語圏の口語ではネズミ講と区別されない」とある。まあ、訳者が間違うのもむべなるかな。でも、プロたるもの俺でも気づく矛盾に気づいてほしかった。