I'm the torus.

僕等はものを食べてそれを体の中に取り込んだ気になっているけど、よく考えてみるとそれは体の中に入ったわけじゃない。なぜなら僕等はトーラス、 S_1 \times S_1 だからだ。
消化管はトーラスに開いた穴に過ぎない。トポロジカルにいえばそこは僕の体の内側じゃない。太陽や車がいる空間と同じだ。分解して小腸で吸収されて初めて体の中にはいったといえるのだ。
そういうことを想像して、腹のなかに落ち着かない感覚を抱いている自分は我ながら変な奴だなあ。

まあ、こういうことを考えたのは子宮の中がすでに母親の免疫系の埒外になっていることを思い出したから。正確には、子宮の中の羊膜の中のことだけど。
そこは既に新生児の免疫が働く空間になっていて。母親の細胞であろうが、入ってきたら敵として殺される。
その間にたって養分やら酸素・二酸化炭素を交換するインターフェースになっているのが胎盤だ。そこが二つの個体の界面になっている。ここらへんは、以前へその緒の中の血液はどっちの血なんだろう、とおもって調べたときの知識。胎盤からさき、つまりへその緒は新生児のものだ。受精卵が分割してできたものだ*1
冷静に考えてみたら、腹の中で別の個体が発生して融着して栄養をすいとってるんですよ。それなんてSFですか。哺乳類はよくそんな仕組みを考えたもんだ。正確には有胎盤類か。
いずれにせよ、俺たちは活きてるってだけでむちゃくちゃアクロバティックなことをしてるなあ、と思った午後でした。おちはない。

*1:いや、ちゃんと調べてないけど